ツムカフェ突撃インタビュー!金時 YOTTA 木崎さん 山脇さん

ツムカフェ突撃インタビュー! 金時 YOTTAの木崎さん、山脇さん

こんにちは!ツムテンメンバーの林です!
今回は「デコトラ石焼き芋屋」として名をはせるアートグループYOTTAのお二人、木崎さんと山脇さんにお話を伺いました。

通天閣下のカフェでレモンスカッシュを飲みながら、1時間超の取材を受けてくださったYOTTAのお二人は今年、第18回岡本太郎賞を受賞された、今最も注目される若手アーティストです。


【インタビュア:林(以下 林)】
ー YOTTAさんがやられている「金時」とはどういうものなのでしょうか?

【木崎さん】
ー どういうものか…まぁ焼き芋屋です。

【林】
ー トヨタのセンチュリーにデコトラみたいな装飾をして焼き芋屋をしているということであってますよね?(笑)

【木崎さん】
ー あってますあってます。

【林】
ー これってもともとどういうところからの発想なのですか?なかなか思い浮かばない発想だと思うのですが。

【木崎さん】
ー アートプロジェクトが2010年六本木であって(六本木アートナイト2010)、そこで何か作品を発表しよう、みたいな話になって、それがちょうど3月くらいのときかな。で、じゃ何にしようかなと、野外のイベントということで、新しい野外の可能性を考えたりして、三月やし、ちょっと寒いから、焼き芋でも焼こうかと、そのぐらいの軽いところから始まって(笑)。そっからどういうものにしようかなとなって、まぁいろいろと話し合っていって、焼き芋屋って見んくなったよねとかいう話し合いをちょっとしてて、まぁそれをどんなふうにすれば、おもしろいようにやっていけるかと考えていたんです。
まぁ焼き芋屋自体もともとがおもしろいものなんです。火積んで音鳴らして芋を売るみたいな、そういう文化日本にしかない。焼き芋屋は、だいたいは軽トラでやってて、ちょっとした労働感というか、わびしさみたいなものはある。そういうのもいいなとは思うけど、逆にそうじゃない、焼き芋屋とはどういうものか。労働感みたいなものではない部分で、最高のものを作っていこうかという話になったときに、芋は特に関西では料亭とかでも使われている、おいしい芋として鳴門金時。あと、デコトラ仕様っていうのは、海外とかでもすごいきらきらしている車とかあったりしてテンション上がるけどそれが日本でいうと何かというとデコトラだと思ってるんです。ぼくらが高速とかで走ってて、でデコトラが通った時、「うおぉぉ」ってなる。そういうものと自分たちの中の焼き芋屋をリミックスして再構築してみたら、金時が出来上がったという感じですね。

【林】
ー 焼き芋屋への思い出みたいなのは何かありますか?

【木崎さん】
ー 焼き芋屋さんって急にあらわれるじゃないですか。音を聞いて、とか、毎日降りている駅にたまに急にいたり、とか。僕はそんなに買ってないんですけど山脇くんは結構買ったり。

【山脇さん】
ー ぼくは買ってました。

【木崎さん】
ー 見て、ラッキーな感じがあるんです。屋台とか、お祭りをやっているみたいな。うちのまわりには夜鳴きのラーメン屋がよくあって。移動販売って、来た時に気づけばラッキーみたいなところがあるから。おなか減っててラーメン屋とか来たときは追っかけますもん。
移動販売は、都市部にいっぱいあった文化で、だんだん整備されていく中で数を減らしていっているんですね。最近、音の問題でうるさい、という人もいるし、うるさいのが嫌やから防音をしっかりして、移動販売の声が聞こえなくなる人もいる。今までの移動販売への触れ方が変わってきていると思います。

【林】   
ー 石焼き芋の声がもう聞こえないんですね。そうした時代の中の「金時」という感じがします。

【木崎さん】
ー 僕らの場合は、まず「なんやこれ」、から始まるから。で看板見て焼き芋屋って書いてあるから、「あっ、これ焼き芋屋?ほんとに売ってるの?」っていうところからですね。

【林】
ー 普通信じられないですよね(笑)
やられていて楽しいこと、印象に残ることって何かありますか?

【木崎さん】
ー んー絞れないですね。一日一個は何かしらのドラマがあります。活動を始めた初めからドラマはあったんです。すぐにデコトラの会長の人がツイッターを見て来てくれて。みんなすごいいい人たちで、デコトラの雑誌の人を紹介してくれたりして、秋葉原でつぎ売ろうと思っているんです、と言うと「応援に行くわー」と言われて。行ったら10台くらいで待っててくれて(笑)。

【山脇さん】 
ー 秋葉原の痛車の数を凌駕してました。ツイッターとかでは、秋葉は次はデコトラなのか!?と言われてて(笑)。

【木崎さん】
ー 僕らが何かを起こすんじゃなくて、周りが何かを起こしてくれてましたね。
【林】
ー もともとはどういうことをみんなに感じ取ってもらえばいいなと思ってたんですか?

【山脇さん】
ー あまり考えていなかったです。ツムテンカクもそうだと思うんですけど、街中でこんなんやっていればおもしろいかな、それだけっすよね。同じやと思います。ちょっとでも街中がおもしろくなればな、とみたいな感じで。

【林】
ー それはアートで、または焼き芋屋で?

【木崎さん】
ー 見る人はアートだとも思わないし、焼き芋屋だとも思わない。よく分からないからおもしろいと思うところかな。

【山脇さん】
ー 街中から石焼き芋屋がなくなっていく中で、ちょっと寂しいなっていうのがありますし、どんどん「うるさいっ」って言われて、町が静かになっていく。委縮して、ストレスをためるっていうのはしんどい世界やと思っているので、焼き芋屋がいれば、ちょっとはおもしろい世界になっているかな。ぼくらだけじゃなくてみんなちょっとずつやっていけばね。おもしろくなっていくと思う。

【木崎さん】
ー そそ。痛車の人もそういう意味ではおもしろくしていると思うんですよ。

【林】
ー 痛車とかも含めた街を面白くする一部分として「金時」はあればいいと?

【木崎さん】
ー 最終的にそれがおもしろかったら。きっと痛車も最初誰かが始めて、それを真似する人が出てきて、痛車というジャンルができたと思うので、同じように(金時を)真似する人が出てきたらおもしろいなぁと。なかなか難しいと思うけど、そういう(街を面白くする)要素的なものとしてそれが広がったええかな、と思ってて。

【林】
ー 自分は、「金時」はYOTTAさんというアーティストさんの作品ということで、何を表現しようとして、何をねらって活動されているのかなと思っていたんですけど、街をおもしろくするため、ということを思って活動されていたとは、すごく意外に感じました。

【山脇さん】
ー 僕らはアーティストなので作品のコンセプトは聞かれるし、もちろんそうだと思う。だが焼き芋屋として一歩街にでると、そのへんのおばちゃんは僕らに1mmもコンセプトを求めない。そういった関係のない目にさらされる。そこで「絶対においしいんで!間違いなくおいしいんで!ぜひ1本」って言ったり、「変な車だねー」と言われて「あざす!」って言ったり。そういうところで、物を作るということも悪くないことなんじゃないかな。可能性はあるんじゃないかなと思う。もちろん作品としてやっているのでコンセプトはちゃんとあるけど。

【林】
ー 今後もこういうことを続けていこうと思っていますか?

【木崎さん】
ー 街への(作品の)展開っていうのは、基本的にはぼくら意識してて。箱の中(美術館)にいれてやるのはもう見てくれる人が少ないし、外に出したほうが反応としておもしろいし。

【山脇さん】
ー ぼくら行商なんで(笑)。昔は朝にお豆腐売りが来て、シジミ売りに来て、お母さんが起きて、今日のお味噌汁は何にしようって選んでた。向こうから全部来てくれたじゃないですか。別に作品もそれでいいんじゃないかって。

【林】
ー こっちがもう行く?(笑)

【山脇さん】
ー こっちがもう行きますがな、って(笑)。

【木崎さん】
ー 美術館でしかできないものもあるし、外でやらないとできないこともある。それはそれで両方あっていいもので、どっちが悪いというものではないと思う。

【林】
ー 外でやる、ということは初めから狙ってやられていたことなのですか?

【木崎さん】
ー まぁ山脇君とかはストリートアートとかにすごい影響を受けてたもんね。ヤノベケンジのアシスタントしていた頃があるんですが、国立国際美術館ですごい展示会があった。だけど、大して人が来なかったんです。みんな見に来いよ!こんなにすごいのに!ってそのときはすごく思いましたね(笑)。

【山脇さん】 
ー 分かるわー。

【木崎さん】
ー と言うのも感じたりしながら、21世紀美術館のオープニングのとき展示を手伝ったんですね。そのとき自分も外で展示を出させてもらってたんですけど、外に行くと美術館は関係なく人が来て。「あっ外の方が人くんねやな」って思いまして。そういうのがどっかにあったんだと思いますね。街中の方がいろんな人に会えていいなあと思います。それが美術業界のものではなかったとしても。

【林】
ー 最後に来られるみなさんに一言!

【木崎さん】
ー まぁ暑いし、要らんかもしれへんけど、がんばって焼くから買ってね、ですかね(笑)。

【山脇さん】
ー あと待たせてしまったら申し訳ない(笑)。ですかね。

【林】
ー ありがとうございました!

当日は「金時」で新世界の中で移動販売されるそうです。芋は高級芋の鳴門金時!絶対うまい!ぜひ皆様も食べてみてくださいね!
<インタビュア後記>

YOTTAさんはデコトラ焼き芋屋のアーティストの方々ということで、「この人たちは何を表現したいのだろう」と取材前は疑問に思っていました。しかし、その答えが、萎縮しつつある街をおもしろくするためというもので、自分が抱いていたアーティスト像にまったく当てはまらず、意外に感じました。また、木崎さんがおっしゃられていたように、「金時」に追随するような作品、活動が他にも広がっていったらどんな未来に、どんな日本になるのだろうかと楽しみになりました。

ツムカフェメンバー 林 稜