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Pickup Artist Interview

現代美術二等兵

これは「美術」ではない!これは「駄美術」だ!

文責:ツムテンカフェメンバー 中尾優司

大阪を代表する繁華街「道頓堀」でおなじみの看板を背に話をお伺いしたのは
籠谷シェーン・ふじわらかつひとからなるアートユニット「現代美術二等兵」。
現代美術二等兵とは?駄美術とは?そして、新世界の不思議スポット「新世界稲荷神社」で行われる乙幡啓子さんとのコラボ展示の内容とは?
ツムテンカクへの想いも含めて籠谷シェーンさんに迫ります!

(インタビュアー:)まず、現代美術二等兵さんがどのような活動をされているかを教えてください。
(籠谷シェーン:)ふじわらかつひとさん(東京在住)と私の二名で活動を行っています。
基本的には、年一回の作品展示と、そこから派生する商品(例えば雑貨、ガチャガチャといった)作品の制作へと活動が広がっています。
作品といっても美術作品、いわゆる現代美術の作品じゃなくて『駄美術』というカテゴリーで作品を作っています。
『駄美術』とはどのようなカテゴリーなのでしょうか。
実は大学の時に仲のよかった三人組で作っていたもので、
「小難しい美術はおもしろくない。じゃあそれ以外で何かしようか!」
ということで作品作りを始めたのがきっかけなんです。
現代美術を茶化したような作品を作り始め、そこそこうけていましたが、たまに真面目に「こんなの美術じゃない!」とか言われることがあって。
そこで「これは『美術』ではない!これは『駄美術』だ!僕たちは『美術』の仲間に入れてほしい訳じゃない!」ということで『駄美術』を名乗り始めました。
『駄美術』はいつもいかがわしいスタイルだけど、魅力的な意味合いを持っているカテゴリーだと思います。
また『現代美術二等兵』という活動名は、ピラミッドでいえば最下層で二等兵的なもの。あと、ゴロもいいなと感じてつけました。
今回、ツムテンカク2013に現代美術二等兵さんは初めて参加されますね。
なぜツムテンカク2013に参加されたのですか?
実はツムテンカクの名前は聞いたことはあったのですが、どういうことをされているのか知らなくて。
今回参加したのは、ツムテンカク実行委員さんより誘われたこと、大規模なイベントとして開催されていること、そして私とふじわらかつひとさんは、今は東京に住んでいますが、元は関西人であったことがきっかけですね。

ツムテンカク2013へ参加するにあたって、何か意気込みがあればお聞かせ頂けないでしょうか。
新世界界隈は場のパワーがすごいですから、少々のことをしてもちょっとかなわないかなと。
あんまりムキになって立ち向かってやるよりも、来場者さんにさりげなく探してもらうぐらいの形がいいのかなという気はありますね。
今回、現代美術二等兵さんの作品が展示される場所に新世界の稲荷神社を選んで頂きました。
どうして、この場所を選ばれたのですか?
神社でする事なんてあまりないということと、乙幡さんがまず筆頭に神社と言われて。
僕は他の場所でもよいかなと思ったのですが。
乙幡さんが先に言われたのですか?
そうです。せっかくやるのだったらいっぺん神社でやってみたいと候補にあげました。で、僕も現場の稲荷神社を見に行きました。
いわゆる新世界の喧騒じゃなくて、ちょっと穴場的な感じでサイズ感とか空間のタイプも良かったですね。
ただ、きっとタブーというか、やってはいけないことはいっぱいあるだろうなとは思うし、作品の内容や制約も思いつつなんですけども。
制約とかは好きではないですけど、逆になんでもやっていいよといわれてもおそらく新世界のパワーに負けてしまう。
ある意味穴場的なところで僕らの穴場的な作品を見てもらえたらうれしいなと思っています。
確かに新世界で神社があることを知らない人はいると思います。
ということは、ツムテンカク2013で新世界には稲荷神社があることを来場者に伝えることができる、ということですね。
もちろん、あのあたりに神社はあるかなとは思っていたのですけど、誰もが知っているというわけではないのかなとは感じました。
でも、あのあたりで商売されている方は、よく稲荷神社へ行ってお参りされているように思いますし、地元に根強く残っている神社だと思います。
僕らの作品とあわせて、稲荷神社のことも伝えることができるとうれしいですね。
新世界に神社と現代美術がある違和感が、すごく面白いと思います!
あんまりむちゃくちゃやったら怒られるかなとは思うので、ある程度場になじませながら、ぐるっとめぐって「あ!これも作品だな。」と感じてもらえればなと思っています。
今回、現代美術二等兵さんは乙幡啓子さんと合同で参加されます。
この点に関して、合同でどのような作品を制作したいと考えておられますか?
また、現代美術二等兵さんと乙幡さんの作品を通じて、ツムテンカクと稲荷神社からどのようなアートを発信していきたいとお考えですか?
作品テーマを三人共が持っているというわけではないんですが、今回の方針という点で共通する部分があるんです。
日本各地のいろんな神社、例えば出雲大社のような大きな神社では、神社的、神様的なイベントが多く開かれているんですね。
で、そういう所には、八百万(やおよろず)の神様が集まってくる。とても幻想的な場所なのかなと三人で思っているんですよ。
もちろん、出雲大社のような大きな神社だけでなく、稲荷神社のような小さな神社にも八百万(やおよろず)の神様は集まってくると思います。
ならば、いろいろな神様を作ってみよう!という自己テーマを立ち上げて、八百万(やおよろず)の神様のような作品を何点か並べてみようと考えています。
「え、こんなものに神様が宿ってんの?」というこじつけ的な神様を筆頭に、色々な神様の形を考えていますよ。
他にも、神社と『駄美術』を無理やり結びつけるとしたら、こんな形がはできるのではないかなという思惑が、三人それぞれおにありますね。
お寺では美術的な展覧会がよく開催されている印象があるのですが、よく似た建物である神社では、美術的な展覧会とはあまり縁がない感じがしますね。
神社ではお祭りや絵馬だとかお供え物とかという原始的なものや工芸的なものが多くて、それをいじることはできるなとは思ったのですが、あまり茶化しすぎちゃうと罰当たりかと・・・。
あと、狐とかがついたら嫌なので・・・(笑)まあ、罰があたらない範囲でやろうとおもってるんですけど。
多少神社的なものをネタにして、こんなのもできるよとか、こういうので作品もできるよとか、変わったものを見せることができればなと。
それはアートとか美術じゃなくて、ツムテンカクという大きなイベントの中で「地味な神社やけど、なんかやってるわ!」という発見であってほしいと願っています。
乙幡さんとはそういう所は話し合って制作されるということですね?
「神社ネタで何できる?」というようなメールでやりとりしながら「こんなん作ろうよ!」と作品像を固めていっています。
ただ、ボリュームと制作期間が勝負どころなので、にぎやかになるのか、作品を探せ的になるのかは正直言ってふたを開けるまでわからないと思います。
どちらにしてもにぎやかになれば楽しいですし、作品を探そう!というのは言い訳ですけど。
でも、ツムテンカク2013の「マチナカでの作品展示」ということになると、品を探そう!というスタンスもありかなと思います。
あえて神社という場所を選んだのはそういう形での作品を出してみたかったからであって。
もし、すごいメインストリートで、すごい派手に作品を出すぞ!といって、制作が間に合わなかったりすると言い訳できませんし、僕らのようにゆっる~い形での物作りをしている者からすれば、今回の神社という場所のチョイスは間違ってなかったのかなあと思っています。
なるほど!ということは、作品はやはり当日まではわからないと。だからこそ、当日見るまで楽しみができる。そういうことですね?
まあ、僕らはざっくりとしたイメージしか立てないんで、たぶんこうなるだろうなと漠然とした考えの下での作品制作ですね。
ですから、実際に作っていってみないとわからない。それだけに、ツムテンカク当日までが楽しみですね。
実は、自分達が一番楽しみなのかもしれませんね。
お話を伺っていくことで、僕自身も、現代美術二等兵さんの作品がどうなってのか、すごく楽しみになってきました!
ありがとうございます。そうですね。どないなるかなと思いますけどね。
まだ、十日ほど(インタビューは5月14日)あるので、良いものを仕上げようと思います。
今回の作品で、こういうところを見てほしいというのはありますか?
『駄美術』は「堅苦しく感じる」とか「教養」とか「見る前に美術の勉強がいる」というもんじゃないので「こういうところ」とかも考えず、本当に気軽に見てもらって、楽しんでもらえたらいいなと思いますね。
肩の力を抜いてもらってね。別にそれで人生が変わってほしいわけではないし「アホやな!」と思ってもらって全然OKです。(笑)
最後にツムテンカク2013に関心をお持ち頂いている方々へ、熱いメッセージをいただけたらと思います。
(初参加なのでイベント当日の状況は)わからないですけど、きっといいイベントだと思うので、ぜひぜひくまなく廻って僕達を探してください!